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次世代電池 ペロブスカイト太陽電池

ペロブスカイト太陽電池は、特定の結晶構造を持つ「ペロブスカイト」という材料を使用した新しいタイプの太陽電池です。この構造は、優れた光吸収と電荷輸送の特性を持ち、従来のシリコン系太陽電池に比べて多くのメリットがあります。

主な特徴
低コストで生産可能
ペロブスカイト太陽電池は、塗布や印刷の技術を利用して簡単に製造できるため、従来のシリコン系に比べて製造コストが低く抑えられます [2]。

軽量で柔軟性がある
非常に薄く軽いため、フレキシブルな設置が可能であり、ビルの壁面や窓ガラスなどにも設置できるため、設置場所の自由度が高まります [6]。

低照度環境での高効率
従来の太陽電池が苦手とする低照度環境でも発電効率が高く、屋内や曇りの日でも発電が可能です 。

課題
ただし、耐久性や安定性に課題があり、長期間の使用に対する信頼性がまだ確立されていません。そのため、実用化にはさらなる研究開発が求められています 。

ペロブスカイト太陽電池は、これらの利点により、将来的には従来の太陽電池を補完・代替する存在として注目されています。

多様な色を実現できるペロブスカイト太陽電池 



ペロブスカイト太陽電池は、多様な色を実現できる点が特長の一つです。これはペロブスカイト材料がさまざまな組成で作られており、発色を自由に調整できるためです。例えば、ビルの外壁や窓ガラスに組み込むときに、建築デザインや美観に合わせたカラーリングが可能です。

発電効率への影響
色がつくと「太陽光を十分に取り込めず、発電効率が下がるのではないか?」と懸念されるかもしれませんが、ペロブスカイト太陽電池はその影響を抑える技術が発展しています。具体的には、色がついても可視光のエネルギーを効率的に変換できるように材料や構造が調整されています。また、色付きガラスの設置場所としては、低光量での発電効率が高い特性もあり、屋内照明の光でも発電が期待できる点がメリットです。

非常に薄くて柔軟性のある形状で使用できる



ペロブスカイト太陽電池の特筆すべき特徴の一つは、その「薄さ」です。シリコン系太陽電池と比較して、ペロブスカイト太陽電池は約100分の1の厚さで済むとされています[2]。薄膜構造であるため、非常に軽く、柔軟性も高いのが特徴です。これにより、従来のシリコン系太陽電池では設置が難しかったビルの壁面や曲面などにも、簡単に取り付けることができます[6]。

また、この薄さのおかげで材料費を削減でき、軽量であるため輸送コストの低減にもつながります[3]。そのため、ペロブスカイト太陽電池は低コストかつ多様な用途に適応できる太陽電池として注目されています。
ペロブスカイト太陽電池の厚さは非常に薄く、具体的には「髪の毛の100分の1」に相当するとされ、約1マイクロメートル(1/1000ミリメートル)の厚さの層で発電が可能です[3][4]。

この薄さにより、軽量で柔軟性があり、巻いたり折り曲げたりすることもできるため、従来の太陽電池にはない応用が可能になっています[1]。

トヨタは現在 この太陽電池を電気自動車に搭載し、従来のボトルネックを根本から覆す



トヨタが次世代EVにペロブスカイト太陽電池などの新技術を活用すると、以下のような多くの利点が期待できます。

多彩な色とデザイン性
ペロブスカイト太陽電池は、自由なカラー設計が可能で、車体のデザインにマッチさせることができ、外観の自由度が増します。

超薄型・軽量
ペロブスカイト太陽電池は従来のシリコン系電池よりはるかに薄く、軽量です。そのため、車の重さに影響を与えず、空力性能や燃費の向上に貢献します[1][3]。

柔軟で多様な設置が可能
薄くて柔軟性が高いため、車の曲面部分やルーフなど、従来の太陽電池では設置が難しかった場所にも対応可能です[2]。

電気変換効率が高い
ペロブスカイト太陽電池は、低光量でも効率よく発電できるため、曇りや夜間の街灯などの微弱な光でも発電が期待されます。駐車中でも発電し、車のバッテリーを補充する効果が期待できます[1]。

充電時間の短縮
出光との提携により、トヨタは全固体電池の実用化も進めており、充電速度の向上が期待されています。この技術と組み合わせることで、さらなる充電効率が見込まれます[3]。

希少金属の削減
一部のペロブスカイト太陽電池には、シリコンやリチウムに代わり、希少金属の使用を減らす可能性があるため、資源の節約と環境負荷低減が期待されています[6]。

これらの利点により、トヨタのEVはより環境に優しく、利便性の高い車両としての進化が見込まれ,世界のEVの問題を解決し、EVの展開を阻害している問題を大きく変えようとしています。

ペロブスカイト太陽電池がEVに実装されたら、バッテリーは不要になる??



ペロブスカイト太陽電池が車に実装されると、車両のバッテリーに追加の電力を供給することができますが、従来のリチウムイオンバッテリーは引き続き必要です。以下で理由を詳しく説明します。

太陽電池は補助的な発電源
ペロブスカイト太陽電池は、車両のルーフやボディに設置することで、駐車中や走行中に太陽光を利用して発電します。これにより、駐車場などでわずかに充電ができるため、バッテリーの負担を軽減し、航続距離を伸ばすのに役立ちます[1][4]。

従来のバッテリーは不可欠
太陽電池は直接バッテリーに充電を行う「補助電源」の役割であり、必要な全電力を供給するわけではありません。曇りの日や夜間は発電できないため、大容量のリチウムイオンバッテリーが依然として車の主電源として重要です[2]。

蓄電機能の併用
太陽電池が発電した電力を蓄電するため、車両に蓄電池が備わっていると、発電した電力を効率的に活用できます。また、ペロブスカイト太陽電池とバッテリーを組み合わせることで、全体の充電サイクルが効率化されることが期待されます[5]。

結論として、ペロブスカイト太陽電池は車のエネルギー効率を向上させる重要な役割を果たしますが、夜間や悪天候時には電力供給が難しいため、従来のバッテリーはなくならず、共存して使われます。

ペロブスカイトの充電力 



少なくとも、日中太陽光の下で走行すれば、充電スポットでの充電は不要で、目的地までたどり着ける! といった期待があります。 実際はどうなんでしょう

ペロブスカイト太陽電池を搭載したEVは、日中の太陽光下に駐車すると発電が可能ですが、現在の発電効率から見ると、充電スポットの代わりになるまでには至っていません。

具体的には、ペロブスカイト太陽電池の発電効率は急速に向上していますが、車両を完全に充電するほどの電力を供給するには限界があります。トヨタの試算では、車体全体に太陽電池を配置した場合でも、発電量は数百キロメートル分の走行エネルギーにとどまる見込みです[1]。そのため、日常的な電力消費の一部を補助する役割としては有効ですが、充電スポットを完全に不要にするほどの発電量には達していないと考えられます。

実際の用途としては、駐車中やアイドリング時にバッテリーを保つ「補助充電」的な役割がメインで、長距離走行にはやはり従来の充電が必要です。したがって、太陽光による発電だけで充電スポットが不要になるというのは、まだ現実的ではありません。

材料としてのペロブスカイト  果たしてペロブスカイトは何でしょう?



ペロブスカイトは、特定の結晶構造を指し、太陽電池に用いる場合には「ペロブスカイト構造」を持つさまざまな化合物が採用されています。主に鉛やヨウ素、メチルアンモニウムなどが用いられ、これらの材料は比較的安価で入手が容易です。特に、ペロブスカイト太陽電池の主要材料であるヨウ素は、日本が世界第2位の生産国であり、供給の安定性が高いとされています[2][3]。

ペロブスカイト太陽電池のもう一つの利点は、これらの素材が高価な貴金属や希少金属をほとんど必要としない点です。このため、コストが低く、環境への負荷も抑えられることから、広範な用途への展開が期待されています[1]。

ただし、鉛を用いる場合の環境面での課題や代替素材の研究は続けられており、持続可能な素材としての改良が求められています[6]。


充電効率  




素人からすると、ペロブスカイト太陽電池が実用化されると、今バッテリーが抱えているすべての課題がクリアになるかといえば、そうではないようですね。 

希少金属を使用したバッテリー(特にリチウムイオン電池)と、ペロブスカイト太陽電池は異なる用途と特性を持っていますので、性能的な比較のポイントも異なります。

発電力(変換効率)
ペロブスカイト太陽電池は、太陽光のエネルギーを電気に変換する「発電デバイス」であり、そのエネルギー変換効率は最大で20~25%に達しつつあります。ペロブスカイトの優れた点は、低照度でも効率的に発電できることです[2]。一方、リチウムイオン電池などの希少金属を使ったバッテリーは、エネルギーの発電ではなく「蓄電」に特化しています。

充電効率と蓄電性能
リチウムイオンバッテリーは高いエネルギー密度と優れた充電効率を持ち、速い充電と長い寿命が期待できます。一方で、ペロブスカイトを用いるデバイスは充電効率というよりも、発電能力や低コストな製造が主な特徴です。

コストと持続可能性
ペロブスカイト太陽電池は希少金属に依存せず、製造コストが比較的低いため、大規模に展開しやすいとされています。リチウムなどの希少金属を使うバッテリーはコストが高く、資源の地理的制約もありますが、高い蓄電効率と長寿命が強みです。

総じて、ペロブスカイトは発電のための太陽電池として、リチウムイオンなどのバッテリーは蓄電のための高効率バッテリーとして、それぞれ異なる特性で補完し合う形となります。

充電スポットにて、長時間待たされることが少なくなるよ! といったところですね。 
曇天や夜間は全く役に立ちそうにないので、お昼に活躍するといったイメージです。
それでも、走りながら効率よく発電できるのは、ものすごいメリットです。

蓄電の観点からは、全個体電池の開発もトヨタは進めているようで、
蓄電の技術革新も、向こう数年で大きく世界が変わりそうです。

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